かずや。

自分日記。

暗闇教室。

大学2回生の頃、映画好きな友達が映画サークルを立ち上げた。

僕も映画は好きなので、面白そうで楽しそうな予感がしたので立ち上げに協力して一緒に映画を観ることにした。

 

はじめのうちはそのサークルは友達と3人で週に1回ただ単に映画を観るということをやっていただけであった。

 

誰もいなくなった夜の教室はひっそりとしていて、僕達の声が響き渡る。

窓から見える外の景色は暗い。

大きな黒板の手前に位置する大学教授が座る席に座る。

普段は座れないえらい人が座る席に自分が座っていることに気分は上がる。

教授の席についているスイッチをいじってスクリーンを下ろしプロジェクターで映像を映す。この機会いじりに初めは結構苦戦したが、回を重ねる後に慣れていった。

教授の席にはたくさんのスイッチがあり、教室を操るコックピットだ。教室の窓についているシャッターを上げたり下げたりするボタンを何回も押して楽しんだりしていた。

巨大ロボットを操縦している主人公になった気分。

 

教室の電気を全て消すと広い教室が真っ暗闇に包まれる。

暗闇の教室の中で下ろされたデカいスクリーンだけが青く光っている。

上映前のスクリーンの画面は不気味な青色で、それは今にも貞子がそこから飛び出して姿を現しそうだった。出てくんなよ貞子。

 

そして上映開始。

友達が選んだ映画はコテコテのSFアニメーション映画。

僕は見たことも聞いたこともない作品だったが、大きなスクリーンに映像が流れ始めると気分は高揚した。3人一緒に「おー!」と声を出していた。

スケールのでっかい物語だった。宇宙の平和を守るため、無口でクールな鬼強い主人公が地球外生命体をザックザックとぶっ倒していく。わけのわからん巨大な怪物を主人公がド派手にぶっ殺していく様は見ていてワクワクが止まらなかった。

言語化不能な楽しさがあった。

教室に映画の音が響く。アクションシーンの音響がたまらない。

この教室にいるのは僕達3人だけで僕達が今、この映画館になった暗闇の教室を占領しているのだ錯覚してしまう。もちろん調子に乗ってしまう。

他にも学校を舞台にした「桐島、部活辞めるってよ」やゾンビもの「アイアムアヒーロー」などを見た。

いつの間にかサークルは自動消滅した。

それからちょっとだけ映画に詳しくなった僕は今ではよく1人で映画を見るようになった。1人で映画化を見に行くのは楽しい。

けれど友達とあの空間で見た映画鑑賞に勝る楽しかった映画鑑賞はない。